sunny side down

玉城裕規さんのファンです。ぐだぐだ観劇おぼえがき。

4/13 メサイア―銅ノ章― 昼・夜 (評議会感想) 

シアターサンモールにて、浜尾くんファンの友人と、「メサイア」を観劇しました。
そういえばジョバンニ以来のサンモールで、いまだにジョバンニの思い出が濃く残っているので、懐かしく、不思議な気持ちになりつつ、たのしく観させていただきました。
アクションに迫力があってほんとこれ怪我しないか心配だなあ!と思いながら それぞれのキャラクターの個性がアクションにも生きていました

原作の小説は既読です。2月頃から読み始めて舞台の1週間前に読み終えたので本当にのんびりでした…
なので原作の記憶もふわふわしているのですが
「世界規模の軍縮会議があり、表向きには軍縮はしているけれど、水面下ではスパイも暗躍して情報戦争が絶えない」というところをベースに
舞台版にはその軍縮の再調印に反発し、日本を変えようとする「評議会」というテロリスト集団が登場します。
「評議会」という組織名と、そこに属するキャラクターの配役・名前が明らかになったのみの状態で舞台直前まで焦らされていたので(笑)期待や楽しみも一入でした。

評議会の4人は、本当になんというか、ばらばらで危うい人たちでした。
劇中では「二流テロ集団」などと評されていましたが、それは「日本転覆を目的にしているが、おのおののポリシーは全く異なる」という点において言えるようです。
だからこそ内部での衝突も絶えないようで。
ストーリーの中でいちばん最初に姿を見せたのは山田くん演じる大場くんだったと思うのですが、彼はだれかから怯えたようすで逃げていて、
彼を追って姿を現したのが玉城さん演じる周さんでした。
酷薄な笑みで大場くんを殴る周さん、あれ、?と思いました。同じ組織の人間じゃねえの、って。
同じ組織の内部でもいろいろあって、みたいなことは聞いていましたが最初から思い切り分裂してるとは思わなくて驚きました。
そしてさらに興味がわきました。最初からこれってどうなの!面白い!

というわけでとりあえず評議会のみなさんについて所感やキャラクターについての覚え書き。

・桧賀山純也(演:池田純矢さん)
評議会のメンバー、表の顔は国際ジャーナリスト。ジャーナリストの顔を使ってサクラ内部にも接近する。
北方連合のスパイであり、軍縮の再調印をその立場からも阻止しようとしているようす。幹部の三栖さんとは対立関係にある。
わたしはゴーカイジャーが大好きだったので純矢さんの、生き生きと快活な姿がすごくいいなぁと思っていましたが
今回は落ち着いて、洞察力観察力に長けた、賢い、しかしとてもずるい、「大人」の役でした。
低く張りつめた声と堂々とした様子がほんとうにただただ格好良くてうっとりしました。
この人のたくらみというか目論見というか、そういうものはほんとうによく見えませんでした。
北の人間である(珀の兄とも顔見知りである)というところは明かされましたが、それにほんとうに従順なのかわからないし、
いくつもの顔を持っている桧賀山さんには、自分なりに隠し持っている信念やらがまだまだありそうだなぁと思います。

・三栖公俊(演:中村龍介さん)
評議会の幹部で、国際指名手配犯。今回主人公側の「サクラ」が言い渡される任務のひとつが彼の捕獲。
無口だけれど全身に怒気とたくましさ、つよい信念を常にまとっている人。
がっしりとした体躯に、全身からあふれる強さがすごく男らしくすてきでした。
桧賀山さんの策で捕えられ、ビルに仕掛けられた爆弾が作動しただ死を待つばかりだったときも、ただ静かにその運命を受け入れようとする姿はとにかく男気に満ちていました。
柊介と颯真の絆を目の当たりにし、立ち去るふたりに「気持ち悪ぃんだお前らは」と声を荒げるシーンがありますが
誰とも心からわかりあえず、ただ死を待つばかりの男の寂しさが滲んでいるようで すごく好きです
そしてこのシーンの直後に手錠の鍵もった周さんがひょいっと戻ってくるのでなんかもう胸いっぱいでした…
「おまえにとっておれは手駒なのか」と周さんに問いかけるシーンもなんだかさみしくてせつないです
誰かと心から分かり合いたい、って、そう思ったんじゃないのかなあって そんなことを考えていました

・周康哉(演:玉城裕規さん)
評議会のメンバーで、三栖さんの部下。父親は政治家で、そこから持ち出したお金が組織の資金源にもなってるようす。
三栖さんの指示で基本的には拷問担当、というか常に誰かを殴っていろいろ吐かせようとしている。「手癖が悪」く、相手の懐からいろんなものをすってくる。
常におどけて人を小馬鹿にしたような言動が目立つけれど(桧賀山さんには「ラリってんのか」と言われる)それはどうやら周囲を欺くためのお芝居。本当はとても頭が良くて、世界をよく見ていて、自分の意志もしっかり持っていそうな人です。
登場から人を殴り、いちいち殴った拳をやかましく痛がり、饒舌に謎の持論を展開する。クレイジーで面白い人でした。
基本的におどけた様子でいますが、時折きらりと目に強い光を宿す。ふわふわと何を考えているか分からない様子から、一瞬でスイッチが切り替わる瞬間がありました。とらえどころのなさが増し、とても深く、複雑な人になっていました。
一度は桧賀山さんの罠で、三栖さんに手錠をかけますが、桧賀山さんの隙をついて鍵を奪い、爆破寸前のビルに三栖さんを助けにきます。
「まだこの人は使えるから」という理由で三栖さんを生かすのですが、これを機にふたりの関係がどうなるかも個人的にはとても気になるところです。
周さんにとって三栖さんはずっと「手駒」なのか、それともちがう情が、友情と呼ぶには少しハードすぎるかもしれませんが、生まれることがあるのだろうかと。柊介と颯真の絆を目の当たりにした三栖さんにはもしかしたら、孤独であることの寂しさが沁みたのかもしれません。周さんはそれを支える存在になるのでしょうか。
最後の最後で本来の、とても怜悧な姿を明かした周さん。このまま終わってもらうのも困っちゃう!

・大場傑(演:山田諒さん)
評議会のメンバーで、この中ではおそらくいちばん下っ端にあたる。桧賀山さんの部下、というよりも腰巾着のような印象。
出番はそこまで多いわけではなく、でも、いちばん人間らしさを持った彼でした。
まず冒頭シーンで周さんにひたすら殴られ、桧賀山の居場所を吐けと迫られるけれども決して口を割りませんでした。
その後桧賀山さんに救われますが結局彼は桧賀山さんのことを何も知らず、利用されて結局口封じに爆殺されてしまいます。
この物語にはいろいろなコンビが出てきます。サクラ側のメサイア同士、そして評議会では三栖さんと周さん。
このふたりもコンビであったとは思いますが、ただそこに信頼関係というものは介在していなかったのではないかと思います。
おそらく桧賀山さんにとって大場くんは捨て駒であっただろうし、大場くんも、ただ強い者について自衛していただけである。というそういうような印象です。
強い信頼関係で結ばれたメサイア、信頼関係というところでは分からないけれど、お互いの力についてはしっかり認め合っていた三栖さんと周さん。
彼はふつうの人間だったんだろうと思います。ただなんとなく現状が気に入らず組織に来て、なんとなく強そうな人に同調してうまくやってきた。だけど意思やポリシーのない人間は、この状況では生きのびることなどできない。その象徴のような存在なのかな。
山田くんはそんな普通の男の子の、弱くて愚かなところもすごくリアルに演じていました。

評議会のみなさんについてはほんとうに色々(妄想も含めて)考えることが多く、また玉城さんのお芝居についてもまだまだ言いたいことがあるような気がするので、またまとめてみようと思います。

サクラ側のみんな含めて全体的な感想もかけたらと…!
狭いステージをふんだんに使って、迫力のある世界を見せていただきました。
個人的には好きなストーリーだったので、今後の展開が楽しみです。
映画は舞台の前日譚だそうで、また個々のキャラクター、そして今回はもうしっかりとした絆ができていた柊介と颯真の絆のはじまりなど、たくさんのことを知れるのがいまから楽しみです。

続編舞台を期待しつつ。