sunny side down

玉城裕規さんのファンです。ぐだぐだ観劇おぼえがき。

5/31 リザードマン 昼・夜

先日行ってきました!千秋楽でしたね、お疲れ様でした。

さてわたしはもう10年以上前の中学生時代から関智一さんにはものすごい憧れを抱いていたのでやっとヘロQさんの舞台を観ることができてそれがまた感無量なわけでしたが、今回の玉城さんもとても楽しく観させていただきました。

近未来の世界、難病を克服するためにバサラトカゲの遺伝子を組み込まれ不死身になってしまった孤独な青年、彼の治療のために実験台にされていたキメラのこどもたち。ひとりの博士の野心から崩壊した研究所から抜け出して、とある組織の人間である「マスター」(関智一さん)の庇護のもと、しあわせに暮らしていた彼らのもとに、崩壊した研究所から逃げてきた女性と研究員、そしてとあるゲームの挑戦状がやってきて、的なところから始まるお話。

玉城さんは成瀬博士(置鮎龍太郎さん/石田彰さん)に開発されたアンドロイド「JPシリーズ」の5号機、JP5の役でした。蚊の遺伝子情報を組み込まれた吸血人間で、咬まれるとただ死ぬだけでなく、対象に見境なく人を攻撃させてしまうこともできるようでした。美しさを重んじ、自らの美しさもとても強く信じている。黒いドレスのような衣裳も中性的でした。

好戦的で残酷なキャラクターではありましたが、自分の美しさを両脇に控える少女たち(5ガールズ)に称えさせて調子を取り戻したり、JP4(人見早苗さん)と仲間割れして罠にかけられたり、…など、コメディ描写も多く面白いキャラクターでした。

「汚い言葉で罵りたいのにぼくの美学がそれを許さない!」的な台詞が妙に印象に残っています。代わりに5ガールズが便所女だなんだと罵ってくれます。シンプルアンドジャストオッケ~~~!

男の子の顔はよく眺め「血がまずそうだ」や「かわいい!」という感想を漏らすこともありましたが、女の子には基本的に無関心な印象。「蚊のなかでも血を吸うのはメスだけ」ということを思うと、彼の心は男というより女に近かったのだろうかと思います。

美しいまま死んでゆくことが叶わず悲劇的な最期ではありましたが、JP5は本当に魅力的なキャラクターでした。出演時間は決して長くなかったと思いますが場面ごとのインパクトが強かったのでそんな気はあんまりしませんでした。

JPシリーズのキャラクターは皆アンドロイドでしたが、感情をプログラムされているせいか個々にそれぞれ個性があってとても面白いキャラクターたちでした。

善と悪には分かれてしまうかと思いますが、すべての登場人物に強い意志があり、また欲望もあり、ストーリーもとても丁寧に描かれていたと思います。成瀬博士の想いも歪んではいますがそれは確かに愛であっただろうし、彼にしてもキメラの子供たちにしても、生きる意志をつよく持って進んでいた姿が印象に残りました。

また、長沢美樹さんが演じられた「JP1」と葵のあふれる母性と愛情、強くたくましく優しい母親像は理想的でした。せつない終わりではありましたが、研究所の爆破シーンでは涙があふれました。

またとても素敵な作品に出逢えてしあわせです。登場人物の言葉、行動のひとつひとつが、わたしのDVDを楽しみに待っています。

そういえば金曜日の夜公演では玉城さんの小道具である赤い針が指から客席に飛んでしまうというハプニングがありました。きれいに最前列の客席間の通路に落ちたのですが、カーテンコールで関さんにそのことに触れられた際には、お怪我ありませんでしたか、すいませんでした、とお客さんを気遣っていらっしゃいました。

野中さんがカーテンコールの際それを拾いにぴょこんと客席に降りて、玉城さんに渡してあげていましたがこの画がとても可愛くてほっこりしました…藍ぽんはほんと何年経ってもかわいいなと思ってました。そして今回実はわたしがいちばん泣かされたのも野中さん演じるサツキちゃんと弟のナギくんでした。

ハプニングはないに越したことはないとは思いますが、舞台でしか起こらないこういう出来事もまたいいものではないかと少しだけ思ってしまったりしています。