sunny side down

玉城裕規さんのファンです。ぐだぐだ観劇おぼえがき。

1/13 「舞台 不毛会議」 昼・夜

観劇初め。

はじめてのCBGKで不毛会議を観ました ふかふか椅子が気持ちよく(これに妙に感動しました)広さもちょうどよく、サイドシートでも十分だったと思います 

以下雑感です 本当に雑感です そういえば映画があるんですね、どの程度内容が同じかわかりませんが一応ネタバレになるかと思います!

 

「某国の戦時中」という設定のお芝居 第二次世界大戦中の日本がベースなのはもうすぐに分かるところではあります

小隊長を亡くした軍人6人が小隊長の四十九日に、彼の別荘に集まり会議をする

「作戦会議」という体ですがなんの作戦かというと、まあなんというか弔い合戦かな 亡くなった中将の意思を継ぎ、敵国に立ち向かう作戦です

この作戦に「賛成」もしくは「反対」で決を取った際、ひとりだけ反対票を投じた人間がいたがために亀裂が入り会議が紛糾し、挙げ句いろいろあって(本当にいろいろあった)ぐちゃぐちゃになってゆきます

 

玉城さんが演じていたのは徳川氏 階級は少尉、荒畑中将が亡くなった後に実質リーダーになった綱吉少尉の補佐官のような役割でした。綱吉少尉(松雪オラキオさん)という方がかなり人間味のある、滑稽で面白い方だったので、対になるようにクールで知的で落ち着いた方でした

基本的にはお堅い軍人という雰囲気の人だったので、明るくふざける部下達を眺めながら口元を綻ばせるシーンや、山本くん(畑中さん)が異国の恋人に宛てた手紙について柔らかく問いかけるシーンなどが妙に印象に残りました。

この人が冷たく、時に残酷でなくてはいけないのは時代のせいなのかなぁという所感

 

努力型の秀才こと新村くん(浜尾くん)の、徳川さんへの憧憬と妬ましさが混ざった感情もすてきでした どうせ自分は努力してようやく帝大に入れただけの人間で、そんな人間には太刀打ちできないくらいの天才である徳川さんはとても素敵だけれど、同時にとても妬ましい、自分がみっともない、そんな卑屈さが良かったです。個人的にはいままでにあまり観たことのないタイプの浜尾くんのお芝居でした

新村くんの立案した作戦では勝ち目はないと彼を鮮やかに論破した後に「だからこそこの作戦に賛成だ」とやさしく新村くんに語りかけるシーンは少しだけ怖いです

 

実は生存していた荒畑中将が戻ってきた後に徳川さんは「早く死にたい」と感情を露にします

同僚がどんどん死んでゆく、生き残ってしまっている自分はとてもみっともない。

いつも冷静だった人のエネルギーが「死」を口にした時に爆発したのを感じて

わたしはなんだかとても悲しいなと思いました

「国のために死ぬ」というのが最も立派とされた時代のおはなしです。

「生を諦め、死へ向かう」というよりも、「生きる」という選択肢そのものが彼の中にもう存在しなかったのだと思うと、なんだかもう、悲しいなと思うばかりなのでした。

 

戦争は終わり、死に損なった中将は嘆き、敵国の恋人との未来を願っていた山本さんはこころから喜びます。

「生きる」ための強い意思とパワーに満ちた人でした。

ラストシーンは衝撃的で、しばらく呆然としました。思い出すと胸が痛いわ

 

「この人はいったいどういう人か」

それを探りたくなるような玉城さんのお芝居が好きです